放棄

 自分が何をやりたいか、どうしたいのかわからないんだ。
 反対に消去法を使って、何はやりたくないのかつぶしていっても
 それでもよくわからない。
 何が楽しいんだろう、何が楽しかったのだろうと思い返してみる。


 誰かが見つけた答えを、ただ辿るだけなのか。
 自分でそれを見つけることは僕にはできないのだろうか。


 憧れを追うだけ。
 良いなっと思った時にはもうすでに誰かがやっている。
 先行している人と比べて特徴なんか見出せない。
 ニッチをつくとか、同じジャンルでも人と違うことをするというような
 独自性というものを持ち合わせていない。
 真似してみせているだけだ。


 何もしたくなくなる。
 何もしなくなくなった。
 僕は何も望みもせず希望もなく、ただ終わりのときを待つだけなのだろうか。
 毎日が日曜日というのも、あまり良いものではないな。


 わずかばかり誇りはとっくに埃りにかわってしまった。
 すっかり心は錆びついてしまった。
 不安だ。
 不安定だ。
 こんなところで死んでしまうのは嫌だ。
 けれど怖くて動けない。
 もう何に怯えているのかもわからないし、何から逃げているのかも思い出せない。
 劣化はますばかりだ。


 思考停止、何もかも放棄してしまうのは楽だ。
 一歩も外へでない。
 考えることもしない、何も想像せず、何も思わない。
 けれど腹はへる。
 何日か食べるのをやめてみた。
 なんでまだ生きてるんだろ。


 流れに逆らわずに流されていくことは簡単だ。
 何もしなければいいんだ。
 自らの意思で何もしないことを選択している状況の時はいい。
 それがそのうち、何もしないから、何もできないにかわっていく。
 深みにはまって、ぬけだせなくなる。
 死を覚悟することができるて、どうして生きる覚悟をしない。
 自分が変わらなきゃ何もかわらない。


 苦しいのが嫌、楽がしたい。
 苦しみを知らない。
 苦しさがわからないと、動けない。
 どんなに面倒だ、億劫だといったって息くらいするだろ。
 何分息をとめていられるの。
 苦しくなっても、そのまま息をとめていられるか。
 そういう死に方をした人がいるんだろうか。
 まあ、いるんだろうけど。
 自分もそうなりたいのかい。
 息ぐらいしろ。


 食べるのが億劫でも食べなきゃやっていけないんだよ。
 同じ食べるならおいしいものを食べたらどうだ。
 何を食べたい。


 朝方になると体が耐え切れなくなってきて眠る。
 すると次に目を覚ましたときにはもう夕方をすぎている。
 一日を無駄にしてしまったと絶望する。
 起きても何もすることもなくて、ただ喉がかわいて、腹がへる。
 無駄だ。
 まったく無意味だ。


 死に恐怖を感じなかったら、そのまま死んでしまいそうだ。
 どうして死ぬのを怖いと感じるのだろう。
 死ぬのは嫌だ。
 けど生きるのもなんかかったるい。
 だるい。
 病気だろうか。
 どこかおかしい、どこかがおかしい、おかしい、絶対おかしいよ。


 誰が助けてくれるって言うんだ。
 自分で自分のことを守ろうとしない、助けようとしないのに。
 変わらない、世界は遠くにあるままだ。
 変わらないどころか遠ざかっているのも忘れてる。
 忘れられるのか。
 忘れてしまえるのか。
 他人のことすら忘れなれないのに、自分のことだぞ。
 助けられたかもしれないのに助けてあげられなかった、あの人たちのことが頭から離れない。
 ずっと僕の頭の中には、常に誰かの姿が脳裏に焼け付いたままだ。
 その人たちを助けることはできないかわりに、誰かを助けようとしたさ。
 救えない。
 誰のことも救ってあげられない。
 自分のことすら。


 莫迦か、僕は。
 莫迦だ、僕だ。


 こんなに絶望を繰り返しても、まだ足りないのか。
 さんざん自己嫌悪して、落ちてきたのに。
 苦しみがたりないのか。
 あとどれだけ苦しめばいい。
 どうしたら息を吹き返せる。
 生きて何をする、何を変える、何を実現する。
 相手が満足してくれて、自分も満足することは何。
 楽しかったのは何。
 誰ももっていない、僕だけのものって何。


 別に誰かがもってるものだっていいじゃない、共有すれば。
 調和もひとつの喜びのかたちだ。
 再現することでも知ることはあるはずだ。
 人より劣っている、そのぶん成長できるんじゃないの。
 もし折り返せたら、それはそれで幅だろ。
 下等だけれど、人なみになれたら幸せだなんて、敷居低くていいんじゃないの。
 他の人たちは、先に行ってる、追いこうたって、見えないところまで行っている。
 僕が見たもの、僕がみるものは、その人たちにはけして見えない。
 僕だけの奇妙な世界だ。
 人の心は時代を映す鏡、現代特有の何かだ。
 たぶん、僕のような人たちが、大勢いる。
 僕がそうなのだから、似たような現象は他でもおきていると思う。
 自分だけのように思えても、じつは誰にでも要素はあるだろうし
 実際に近い位置にいる人はいると思う。
 僕も人だ。


 こんなのいけないよ。
 こんなんじゃいけないよ。
 他の人には、こんな気持ちにさせられないよ。


 どうしよう。
 何をかえよう、まだ生きてるよ。
 髪型かな、髪型がわるいのかな。
 ……って、ネタか、やっぱり。
 ああ、でも暗いネタ好きなんだろうな。
 明るいのってパワーいるけど、暗いのはいらない。


 抜け穴ないですね。
 困った問題だ。
 って、本当に困ってるのか。
 問題なのに問題だと認識できないくせに。


 疲れた。
 少し、眠る。
 次起きる時はどうか……
 いや、今はもう何も考えないでおこう。
 とにかく、眠て起きる。
 まずは、それからだ。
 またくだらないことを思っていたらこんな時間になってしまった。
 もう朝です。
 おやすみなさい。