目が覚める、まだ僕は生きているようだ。
 眠ったらもう二度と目なんか覚めなければいいのに……
 何度そう思ってきただろう。
 もうサイトを続けていく意味もないし
 生きていること自体が無意味に思う。
 居場所もなく、息は苦しい。
 公園で横たわっているホームレスの人達は
 いったい何を食べて生活しているのだろう。
 あの人たちにも、きっと何らか楽しみがあったり
 生きる喜びがあるのだろう。
 話しを聞いてみたい気がする。
 できるなら 1 日ずっとつきあわせてもらって
 どんな暮らしをしているのか、何を食べているのか
 夏はまだしも、冬だとか、雨の時はどこへ非難を
 しているのかだとか、生きがいは何かを、知りたいと思う。
 路上生活だなんて自業自得のことなのかもしれない。
 望んでなった人は別だけれど、たいていはそうではないはずだ。
 あの人たちでも、社会復帰することはできるのだろうか。
 パンをあげたら喜んでくれるだろうか。
 以前東京駅の地下街で「きのうから何も食べてません」と
 言ってきた物乞いの人がいた。
 僕の 3 倍は生きてるであろうその人は
 みそぼらしくて、情けなくて、見るにたえなかった。
 あれからどれくらいたったかは覚えていないけれど
 彼はそれからどうしたのだろう、今はどうしているだろう。
 よくお世話になっている方と仕事について話しをしていたら
 「仕事で疲れて、趣味なんかもてない」と言っていた。
 生きていたらいいことのひとつもあって
 悪い事ばかりというわけでもないのだけれど
 どうしてこんなに死にたいと思うんだろう。
 そう思ってみても、ひとりきりで自死を選ぶこともできなくて
 ただ時間が流れて、僕は老いていくだけで……
 一緒に死んでくれるって言ったのに、君はそばにいてもくれなくて。
 今度はいつ会えるんだろう、今度こそ楽になれるのだろうか。
 僕は道ずれがほしかったのかな。
 きっとそうじゃない、本当はそんなんじゃないだろ。
 何もできないよ。
 僕は自分自身どうしていいのかわからない。
 こうしている間にも、時は過ぎていって
 朝日が昇れば、身体がたえられなくなって眠りにつくことだろう。
 次に目覚めるとあたりは明るくて、途方もない虚無感にさらされながらにして起きることになるのだろう。
 その後は図書館へ行って、本を読んでいるうちにお腹がすいて、だけど食べるものがない。
 しかたなく水を飲んで空腹をみたす。
 そうこうしているうちに、日が沈んで行く。
 夕方の情景、その美しさに感動して、高台を目指す。
 日が暮れて、街灯が輝き出して、夜景を眺める。
 光の粒の下には、きっと家庭があって、たたずまいがあって、幸せな人達が
 笑顔をみせあっていることだろう。
 僕はそれらからは遠く離れた場所にいて、光の点をそっと見下ろすだけだ。
 僕には幸せといったものと縁がない。
 ただ人の不幸はたえられない、誰かが幸せであるなら、それがうれしい。
 世界はとても綺麗で、輝く地上の星々は幸福にあふれている。
 天上の星を失ってまで手に入れた、人間の幸せ。
 僕ひとりの不幸とひきかえに、今夜誰かが幸せになれるならそれがいい。
 そんなふうに思いを巡らせていたら
 空が血の色みたいに朱に染まってきた、朝焼けだ。
 ちょっと疲れた、少し眠ることにします。
 もう目が覚めませんように。